地域によっては方言が日常的に用いられている。医療業界では、この方言が大きな問題になっていることをご存知だろうか。例えば、患者が地元とは違う地域で、方言を用いて自分の症状を伝えようとした際、当然ながら看護師や医師に言葉の意味が伝わらない。特に、若い世代はネットの影響もあり、あまり強い方言は使わない傾向にある。そのため、今後若い世代の医療従事者が増えていけば、その多くが方言の解読に苦戦してしまう。そんな実情を踏まえ、とある医学部では津軽弁を学ぶ授業があるという。方言に対する問題がさらに表面化していけば、広いエリアで方言の勉強が行われることになるかもしれない。
もし、感覚的に方言を受け止めて、患者の訴えを誤認してしまうと、大きなミスに繋がる恐れが出てくる。結果、治療内容や看護ケアの方針も誤ったものになれば、患者を危険な状況に陥れてしまいかねない。実際、人は自分の知らない言葉でも、自分の知っている言葉に無意識に置き換えてしまうことがあると言われている。響きやニュアンスが似ているものを脳のデータから引っ張ってきて、一方的に解読するのは絶対にやるべきではない。
そうした問題を懸念し、近年では方言を通訳するさまざまなプロジェクトが発足している。地方の学生が方言をまとめた資料を配布したり、通訳に役立つデータベースを開発したりと、多くの手助けツールが作られているため、リサーチしてみるといいだろう。ネット上に、日本全国方言辞典というものもあるため、ぜひ活用してみるといい。